脊髄損傷の自律神経過反射でみられるのはどれか。2つ選べ。
- 頻脈
- 高血圧
- 低血糖
- 顔面紅潮
- 損傷レベルより下の発汗
解答解説
正解は2. 高血圧と4. 顔面紅潮です。
自律神経過反射(Autonomic Dysreflexia)は、脊髄損傷患者(特に損傷レベルがT6以上の場合)にみられる病態で、無意識の強い交感神経反応が生じることによります。この病態では、損傷レベル以下での刺激(例: 膀胱や直腸の充満、皮膚の刺激など)により以下のような症状が現れます:
- 血圧の急上昇(高血圧)。
- 顔面紅潮(副交感神経の反射による)。
- 頭痛や発汗(特に損傷レベル以下での異常な発汗)。
各選択肢の解説
- 頻脈
自律神経過反射では、交感神経の過剰反応により通常は徐脈がみられることが多いです。頻脈は典型的な症状ではありません。この選択肢は誤りです。 - 高血圧(正解)
損傷レベル以下での交感神経の異常な反応により、血管が収縮し血圧が上昇します。高血圧は自律神経過反射の主要な症状の一つです。正しい選択肢です。 - 低血糖
低血糖は自律神経過反射とは無関係です。この選択肢は誤りです。 - 顔面紅潮(正解)
損傷レベルより上では、副交感神経の反射作用により顔面紅潮がみられます。正しい選択肢です。 - 損傷レベルより下の発汗
損傷レベル以下では異常な発汗がみられることが多いですが、これは通常の反射ではなく異常な交感神経反応です。この選択肢は症状として正しいですが、設問の意図を踏まえると他の症状が優先されます。
ワンポイントアドバイス
自律神経過反射の主要症状を押さえましょう:
- 高血圧(最も顕著)。
- 損傷レベルより上: 顔面紅潮、頭痛、鼻閉。
- 損傷レベルより下: 発汗過多、蒼白。
- 徐脈(頻脈は通常見られない)。
原因となる刺激(膀胱や腸の過伸展、皮膚の刺激など)を取り除くことが治療の基本です。