第51回

第51回理学療法士国家試験 午後問題38

水中運動療法の作用と効果について正しいのはどれか。

  1. 静水圧は静脈還流を増大させる。
  2. 動水圧の大きさは運動速度に反比例する。
  3. 皮膚からの感覚フィードバックを受けにくい。
  4. 水中での身体の熱喪失量は空気中に比べて小さい。
  5. 静水圧は呼気時の胸郭運動には抵抗として作用する。

解答解説

正解は1.静水圧は静脈還流を増大させるです。
水中運動療法では、静水圧が身体全体に均等に働き、静脈やリンパの流れを促進することで静脈還流を増加させます。この効果は、特にむくみの軽減や心臓への負担軽減に寄与します。

各選択肢の解説

  1. 静水圧は静脈還流を増大させる。
    正解。静水圧が身体全体を圧迫することで、血液の静脈還流が促進され、むくみの改善や心臓への血液供給がスムーズになります。
  2. 動水圧の大きさは運動速度に反比例する。
    誤り。動水圧(抵抗)は、運動速度に比例して増大します。水中では速く動くほど抵抗が大きくなるため、負荷が増します。
  3. 皮膚からの感覚フィードバックを受けにくい。
    誤り。水中では、水の抵抗や静水圧により、むしろ皮膚からの感覚フィードバックを受けやすい環境となります。
  4. 水中での身体の熱喪失量は空気中に比べて小さい。
    誤り。水は空気よりも熱伝導率が高いため、水中では熱喪失量が大きくなります。特に冷水では体温が急激に低下するリスクがあります。
  5. 静水圧は呼気時の胸郭運動には抵抗として作用する。
    誤り。静水圧はむしろ吸気時の胸郭運動に抵抗として作用します。これは呼吸筋のトレーニングに活用されることがあります。

ワンポイントアドバイス

水中運動療法では、静水圧による循環改善、浮力による負荷軽減、動水圧による抵抗負荷など、多様な作用を活用できます。静水圧の影響で血流やリンパの流れが促進されるため、浮腫のある患者や循環器系疾患を有する患者への応用が有効です。