第51回

第51回理学療法士国家試験 午前問題20

46歳の男性。健康診断で身長170cm、体重75kg、BMI26.0、腹囲88cmであった。運動習慣に関するアンケートで以下のように回答した。この段階の対応として最も適切なのはどれか。

  1. 仲間づくりを促し、周囲からのサポートを受けやすくする。
  2. 具体的な目標を提示し、運動を継続するための動機づけを図る。
  3. 達成感や楽しみが感じられることなど運動習慣の意味を認識させる。
  4. 運動不足の害や生活習慣病に関する知識を与え、運動への関心を高める。
  5. 実行可能で無理のない運動から開始し、成功体験を積めるように工夫する。

解答解説

正解は5.実行可能で無理のない運動から開始し、成功体験を積めるように工夫する。です。

この男性は現在運動習慣がなく、アンケート結果からも運動を始める意欲はあるが、具体的な行動には移していない状態です。この段階では、実行可能な運動を提案し、無理なく取り組めるようにすることが重要です。また、小さな成功体験を積むことで達成感を得て、運動を継続する動機づけを図ることが効果的です。

選択肢の解説

  1. 仲間づくりを促し、周囲からのサポートを受けやすくする。
    仲間のサポートは運動の継続には有効ですが、この段階では運動の実行そのものが最優先です。まずは個人で実行可能な運動を始めることが重要であり、この選択肢は時期尚早です。
  2. 具体的な目標を提示し、運動を継続するための動機づけを図る。
    目標の設定は運動を継続する段階で有効です。しかし、この男性はまだ運動を始めておらず、初期段階で具体的な目標を提示するのは適切ではありません。
  3. 達成感や楽しみが感じられることなど運動習慣の意味を認識させる。
    運動の意義を認識させることは重要ですが、この段階では行動を起こすための小さな成功体験を積むことが優先されます。この選択肢は適切ではありません。
  4. 運動不足の害や生活習慣病に関する知識を与え、運動への関心を高める。
    知識を与えることは有効ですが、この男性は運動を始める意欲を既に持っています。そのため、知識の提供だけでは行動の変容にはつながりにくいです。この選択肢は適切ではありません。
  5. 実行可能で無理のない運動から開始し、成功体験を積めるように工夫する。
    この段階では、運動を始める行動を促進することが最も重要です。無理のない範囲で運動を開始し、成功体験を積むことで達成感を得られ、継続意欲につながります。この選択肢が最も適切です。

ワンポイントアドバイス

運動習慣がない人には、段階的なアプローチが重要です。まずは簡単で短時間の運動(例えば、10分程度のウォーキング)から始めることを提案し、成功体験を積むことで運動への抵抗感を減らします。また、結果を評価しつつ、徐々に運動量を増やす方法を採用すると効果的です。