第52回

第52回理学療法士国家試験 午前問題36

うっ血性心不全でみられるのはどれか。

  1. 咳嗽
  2. 皮膚紅潮
  3. 頸動脈雑音
  4. 心胸郭比40 %
  5. 初期の体重減少

解答解説

正解は1.咳嗽です。

うっ血性心不全(CHF:Congestive Heart Failure)は、心臓のポンプ機能が低下することで全身の血液循環が障害される病態です。肺うっ血が生じると、肺水腫や咳嗽、呼吸困難が見られます。特に夜間や横になると増悪する咳嗽は典型的な症状の1つです。

各選択肢の解説

  1. 咳嗽(正解)
    肺うっ血に伴い、肺水腫や気道の刺激が起こり、咳嗽が出現します。 これはうっ血性心不全の典型的な症状です。この選択肢が正解です。
  2. 皮膚紅潮
    皮膚紅潮は主に血管拡張が原因で見られる症状であり、うっ血性心不全には通常みられません。むしろチアノーゼや皮膚の冷感が生じることが多いです。この選択肢は誤りです。
  3. 頸動脈雑音
    頸動脈雑音は、動脈硬化や血管狭窄による血流乱流が原因で生じます。うっ血性心不全の直接的な症状ではありません。この選択肢は誤りです。
  4. 心胸郭比40 %
    心胸郭比が50%以上で心拡大が疑われます。 正常範囲である40%では心不全を示唆しません。この選択肢は誤りです。
  5. 初期の体重減少
    うっ血性心不全では、むしろ体液貯留が原因で体重増加がみられることが多いです。利尿薬治療後に体重が減少することはありますが、初期症状としては誤りです。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

うっ血性心不全の典型的な症状は、左心不全では肺うっ血に起因する咳嗽や呼吸困難、右心不全では下肢浮腫や頸静脈怒張です。初期症状から進行期の変化までを把握し、適切に判断できるようにしておきましょう。