第51回

第51回理学療法士国家試験 午前問題71

手について正しいのはどれか。

  1. 側副靱帯はMP関節屈曲で緊張する。
  2. 母指のCM関節は3度の自由度をもつ。
  3. 手のアーチ構造は横アーチのみからなる。
  4. 手掌の皮膚は手背の皮膚に比べ伸展性に富む。
  5. 鉤形握りは母指と他の指の対立運動により可能となる。

解答解説

正解は1.側副靱帯はMP関節屈曲で緊張するです。

MP関節(中手指節関節)の側副靱帯は、関節が屈曲した際に緊張し、側方への動きを制限します。この特性により、指の安定性が確保されます。他の選択肢は手の構造や機能に関する誤りを含んでいます。

選択肢の解説

  1. 側副靱帯はMP関節屈曲で緊張する。
    正解です。MP関節の側副靱帯は、関節が屈曲すると緊張し、安定性を高めます。一方、伸展位では緩み、指が側方に動きやすくなります。この特性は指の巧緻性を高めるために重要です。
  2. 母指のCM関節は3度の自由度をもつ。
    誤りです。母指のCM関節(母指中手骨と大菱形骨の関節)は、屈曲・伸展、外転・内転、回旋(対立運動)を行うための2度の自由度を持っています。3度の自由度はありません。
  3. 手のアーチ構造は横アーチのみからなる。
    誤りです。手のアーチ構造は、横アーチ(手根骨列とMP関節部)と縦アーチ(手根骨から指先)および斜アーチ(母指の動きに関連するアーチ)の3つからなります。これらが協調して手の機能を支えます。
  4. 手掌の皮膚は手背の皮膚に比べ伸展性に富む。
    誤りです。手掌の皮膚は厚く、結合組織が強固に固定されているため、伸展性は乏しいです。一方、手背の皮膚は薄く、伸展性に優れています。
  5. 鉤形握りは母指と他の指の対立運動により可能となる。
    誤りです。鉤形握り(フックグリップ)は、主に指(特にPIP、DIP関節)の屈曲によって物体を握る動作で、母指の対立運動は関与しません。

ワンポイントアドバイス

手の関節やアーチ構造、皮膚の特性などを理解することは、リハビリテーションや手の動きの評価に重要です。特に、側副靱帯の緊張特性や母指のCM関節の自由度、手の3つのアーチについて正確に把握しておくと、関連する問題に対応しやすくなります。