第51回

第51回理学療法士国家試験 午前問題48

我が国の産業衛生について正しいのはどれか。

  1. 死亡災害は平成20年以降半減している。
  2. メンタルヘルス不調による休職者の復職率は10%程度である。
  3. 4日以上の休業事由で最も多いのは、転倒による死傷災害である。
  4. 体調不良であるが出勤する〈presenteeism〉割合は諸外国に比べて少ない。
  5. 職場における腰痛予防対策指針では重量物の扱いの具体的な記載はない。

解答解説

正解は3.4日以上の休業事由で最も多いのは、転倒による死傷災害であるです。

労働災害の中で4日以上の休業を要する事由のうち、「転倒」が最も多い原因として報告されています。転倒災害は、高齢化や作業環境の不備が関係しており、予防対策が強く求められています。

選択肢の解説

  1. 死亡災害は平成20年以降半減している。
    誤りです。死亡災害の発生件数は減少傾向にありますが、平成20年以降に「半減」というレベルには達していません。労働安全衛生法に基づく対策が進んではいるものの、一定数の死亡災害は依然として発生しています。
  2. メンタルヘルス不調による休職者の復職率は10%程度である。
    誤りです。メンタルヘルス不調による休職者の復職率は約50~70%とされており、10%という数値は正しくありません。復職支援や職場のメンタルヘルス対策が復職率の向上に寄与しています。
  3. 4日以上の休業事由で最も多いのは、転倒による死傷災害である。
    正解です。転倒災害は、作業環境の安全対策が不十分な場合や、高齢化によるバランス能力の低下が原因となり、4日以上の休業を要する死傷災害で最も多く見られる事由です。
  4. 体調不良であるが出勤する〈presenteeism〉割合は諸外国に比べて少ない。
    誤りです。我が国では体調不良で出勤する〈presenteeism〉の割合が比較的高い傾向があります。長時間労働や休暇取得率の低さなど、日本の労働文化が影響していると考えられています。
  5. 職場における腰痛予防対策指針では重量物の扱いの具体的な記載はない。
    誤りです。腰痛予防対策指針には、重量物の取り扱いに関する具体的な指針(例:持ち上げ方や持ち運び方の基準)が記載されています。職場での腰痛防止を目的とした詳細なガイドラインが提供されています。

ワンポイントアドバイス

転倒災害は労働災害の中で頻度が高く、職場の安全環境の整備が不可欠です。また、メンタルヘルスやpresenteeismに関する問題も注視する必要があります。産業衛生の知識は職場環境改善や労働者の健康維持に役立つため、実際のデータや指針を理解しておくことが重要です。