第51回

第51回理学療法士国家試験 午前問題33

脊髄損傷患者で、第5頸髄節まで機能が残存している場合に可能な動作はどれか。2つ選べ。

  1. 肩関節外転
  2. 肘関節伸展
  3. 前腕回外
  4. 手関節背屈
  5. 指伸展

解答解説

正解は1.肩関節外転3.前腕回外です。

C5レベルの脊髄損傷では、三角筋(肩関節外転)や上腕二頭筋(肘関節屈曲)が機能します。また、肩甲骨周囲筋や回外筋も一部機能するため、肩関節外転や前腕回外が可能です。対して、肘関節伸展(上腕三頭筋:C7)、手関節背屈(C6)、指伸展(C7-C8)は実行できません。

選択肢の解説

  1. 肩関節外転
    正解です。肩関節外転を行う三角筋は主にC5神経根が支配します。このため、C5レベルまでの機能が残存している患者は肩関節外転が可能です。
  2. 肘関節伸展
    誤りです。肘関節伸展を行う上腕三頭筋はC7神経根が支配しています。C5レベルまでの損傷では、この動作は行えません。
  3. 前腕回外
    正解です。前腕回外を行う筋肉には、上腕二頭筋(C5-C6)と回外筋(C5-C6)が含まれます。これらの筋肉が部分的に機能するため、回外動作が可能です。
  4. 手関節背屈
    誤りです。手関節背屈を行う筋肉(長橈側手根伸筋など)はC6神経根が支配します。C5レベルの損傷ではこの動作は不可能です。
  5. 指伸展
    誤りです。指伸展を行う筋肉(指伸筋など)はC7-C8神経根が支配しています。C5レベルでは機能が残存しないため、指を伸ばすことはできません。

ワンポイントアドバイス

脊髄損傷では、損傷レベルごとに残存する運動機能を正確に理解することが重要です。C5レベルでは肩関節外転や肘関節屈曲が可能ですが、手指や手関節の動きには制限があります。この知識は、リハビリ計画や補助具選択にも役立ちます。