78歳の女性。布団を持ち上げようとした際、背部から腹部への強い帯状痛を生じ、寝返りも困難となったため入院となった。入院時のエックス線写真(別冊No. 3A)とMRI(別冊No. 3B)とを別に示す。この患者の病態はどれか。2つ選べ。
- 骨粗鬆症
- 脊椎分離症
- 脊柱管狭窄症
- 椎間板ヘルニア
- 脊椎椎体圧迫骨折
解答解説
正解は1と5です。
この患者は骨粗鬆症による脊椎椎体圧迫骨折が疑われます。エックス線写真(A)では椎体の形状変化が認められ、MRI(B)では骨折部位に一致する信号変化がみられます。骨粗鬆症は高齢女性に多く、軽微な外力でも圧迫骨折を生じやすいです。
各選択肢の解説
- 骨粗鬆症(正解)
正しい選択肢です。骨粗鬆症は、骨密度の低下により骨折リスクが高まる疾患で、高齢女性に多いです。エックス線とMRIの所見、さらに軽微な外力で発症したことが本疾患を示唆します。 - 脊椎分離症
脊椎分離症は主に若年者に多く、腰椎(特にL5)の椎弓で発生します。この症例の患者には該当しません。 - 脊柱管狭窄症
脊柱管狭窄症は主に歩行時の間欠性跛行や下肢痛を特徴とし、MRIで脊柱管の狭窄が確認されます。本症例の症状や画像所見はこれに該当しません。 - 椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアでは、椎間板の突出が神経根を圧迫し、神経症状(下肢痛やしびれ)が生じます。本症例は神経症状を伴わないため該当しません。 - 脊椎椎体圧迫骨折(正解)
正しい選択肢です。骨粗鬆症による脊椎椎体圧迫骨折は、軽微な外力で生じ、強い局所痛が特徴です。MRIでの信号変化は新鮮な骨折を示唆します。
ワンポイントアドバイス
- 骨粗鬆症の患者では、軽微な外力でも骨折が生じやすいことを念頭に置きます。特に背部痛や動作困難がある場合は圧迫骨折を疑います。
- 圧迫骨折はエックス線写真で椎体の形態変化、MRIで骨折部の浮腫(信号変化)を確認することが重要です。
- 高齢者の腰背部痛には骨粗鬆症や圧迫骨折のリスクを考慮し、適切な画像診断を行いましょう。