第51回

第51回理学療法士国家試験 午前問題16

75歳の男性。交通事故による第5頸髄レベルの脊髄損傷で四肢不全麻痺。受傷後6か月経過。端座位の保持と手すりを使用した立ち上がり動作は可能。食事は太柄のフォークで自立。トイレ動作は見守りが必要。衣服の着脱は介助があれば行える。自宅内は手すり歩行で移動し、屋外は車椅子移動。Frankel 分類はどれか。

  1. A
  2. B
  3. C
  4. D
  5. E

解答解説

正解は4.Dです。

Frankel分類は、脊髄損傷後の運動および感覚機能の回復度を評価する分類法です。この患者は、手すりを使用した自宅内の歩行が可能であり、運動機能が有意に残存している状態に該当します。Frankel分類Dは「運動機能が有意に残存しており、歩行が可能(ただし補助具を必要とする場合がある)」と定義され、今回の症例に一致します。

選択肢の解説

  1. A
    Frankel分類Aは、脊髄完全損傷を示し、感覚・運動ともに機能が全く残存していない状態です。本症例では手すりを使用しての歩行や日常動作が可能であり、分類Aには該当しません。この選択肢は誤りです。
  2. B
    Frankel分類Bは、感覚は残存しているが運動機能は完全に失われている状態です。本症例では運動機能が有意に残存しており、この分類にも該当しません。この選択肢は誤りです。
  3. C
    Frankel分類Cは、運動機能が一部残存しているが、目的の動作を十分に行うことができず、機能的な自立が難しい状態です。本症例では、端座位保持や歩行が可能であり、分類Cよりも良好な状態です。この選択肢は誤りです。
  4. D
    Frankel分類Dは、運動機能が有意に残存し、自宅内や施設内での歩行が可能である状態を示します。本症例では、手すりを使用して自宅内で歩行が可能であり、この分類に該当します。この選択肢が正解です。
  5. E
    Frankel分類Eは、感覚・運動ともに正常であり、脊髄損傷による機能的制限がない状態を示します。本症例では四肢不全麻痺が残存しているため、分類Eには該当しません。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

Frankel分類は、脊髄損傷患者の回復度合いや機能レベルを理解するために重要です。特に、分類DとEの違いは「歩行可能かどうか」ではなく、「補助具の必要性」や「運動機能の完全性」にあります。試験では分類基準を正確に覚え、患者の具体的な状態と照らし合わせて判断できるようにしましょう。