第59回

第59回理学療法士国家試験 午後問題66

脂質の消化と吸収で誤っているのはどれか。

  1. Langerhans〈ランゲルハンス〉島からリパーゼが分泌される。
  2. リパーゼは脂質を脂肪酸とグリセリンに消化する。
  3. 胆汁酸は脂肪酸を乳化しミセルを形成する。
  4. ミセルは小腸粘膜で吸収される。
  5. 小腸で吸収された胆汁酸は門脈を介して肝臓へ運ばれる。

解答解説

正解は「1」です。

ランゲルハンス島は膵臓に存在する内分泌組織であり、インスリンやグルカゴンなどのホルモンを分泌します。リパーゼは膵臓の外分泌腺(腺房細胞)から分泌され、ランゲルハンス島は関与しません。他の選択肢は脂質の消化と吸収に関する正しい記述です。

選択肢ごとの解説

  1. Langerhans〈ランゲルハンス〉島からリパーゼが分泌される。
    誤りです。 リパーゼは膵臓の外分泌部から分泌されますが、ランゲルハンス島(内分泌部)はインスリンやグルカゴンなどのホルモンを分泌する組織であり、リパーゼは分泌されません。
  2. リパーゼは脂質を脂肪酸とグリセリンに消化する。
    正しいです。リパーゼ(膵リパーゼ)はトリグリセリドを脂肪酸とモノグリセリドに分解します。一部、グリセリンとしても生成されます。
  3. 胆汁酸は脂肪酸を乳化しミセルを形成する。
    正しいです。胆汁酸は脂肪を乳化して細かい粒子にし、リパーゼの消化を助けます。また、脂肪酸やモノグリセリドを取り囲み、ミセルを形成します。
  4. ミセルは小腸粘膜で吸収される。
    正しいです。ミセルは小腸粘膜の刷子縁に到達し、脂肪酸やモノグリセリドが吸収されます。
  5. 小腸で吸収された胆汁酸は門脈を介して肝臓へ運ばれる。
    正しいです。胆汁酸は小腸下部(回腸)で吸収され、門脈を介して肝臓に戻る(腸肝循環)ことで再利用されます。

ワンポイントアドバイス

脂質の消化と吸収では、膵リパーゼの役割胆汁酸による乳化・ミセル形成が中心的な過程です。また、ランゲルハンス島がホルモン分泌に特化した組織である点を理解しておくと試験対策に役立ちます。