第53回

第53回理学療法士国家試験 午前問題96

高齢初発てんかんについて正しいのはどれか。

  1. 特発性てんかんが多い。
  2. 患者数は減少傾向にある。
  3. 部分発作を呈することが多い。
  4. てんかん重積状態に至ることはない。
  5. 抗てんかん薬が無効であることが多い。

解答解説

正解は3です。

高齢者のてんかんでは、部分発作が最も多い発作型です。 高齢者では脳血管障害や脳腫瘍、認知症などの病変に関連して部分発作が引き起こされることが多く見られます。

選択肢の解説

  1. 特発性てんかんが多い。
    誤りです。 高齢者のてんかんは、脳血管障害や腫瘍などの明らかな原因がある症候性てんかんが多いです。特発性てんかんは若年層に多い特徴です。
  2. 患者数は減少傾向にある。
    誤りです。 高齢化社会の進展に伴い、高齢者のてんかん患者数は増加傾向にあります。
  3. 部分発作を呈することが多い。
    正しい記述です。 高齢者では、局所的な脳の病変に関連した部分発作(特に単純部分発作や複雑部分発作)が主に見られます。
  4. てんかん重積状態に至ることはない。
    誤りです。 高齢者では、全身状態の悪化や治療の遅れによりてんかん重積状態に至るリスクがあります。この状態は生命に関わる緊急事態であり、迅速な治療が必要です。
  5. 抗てんかん薬が無効であることが多い。
    誤りです。 高齢者のてんかんでも抗てんかん薬は有効です。ただし、腎機能や肝機能の低下を考慮し、薬剤の種類や投与量を調整する必要があります。

ワンポイントアドバイス

高齢者のてんかんは脳血管障害や認知症などの基礎疾患に関連する部分発作が多いことを理解しておきましょう。また、抗てんかん薬の選択や管理では、高齢者特有の薬物動態の変化(腎・肝機能低下)を考慮する必要があります。適切な管理により予後改善が期待できます。