Duchenne型筋ジストロフィーの呼吸障害について正しいのはどれか。
- 咳をする力は保たれる。
- 口すぼめ呼吸が有効である。
- 側弯症は呼吸機能に影響しない。
- 動脈血二酸化炭素分圧が上昇する。
- 呼吸不全は5歳以下から生じることが多い。
解答解説
正解は4です。
Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)では、呼吸筋の筋力低下により、疾患が進行すると動脈血中の二酸化炭素分圧(PaCO₂)が上昇することがあります。 これは呼吸筋の疲労や胸郭の変形による換気障害が原因です。
選択肢の解説
- 咳をする力は保たれる。
誤りです。 DMDでは進行とともに咳をする力(咳嗽力)が低下し、痰の排出が困難になります。初期段階ではある程度保たれますが、呼吸筋の弱化に伴い徐々に失われます。 - 口すぼめ呼吸が有効である。
誤りです。 口すぼめ呼吸は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者に有効ですが、DMDの呼吸障害においては特に有効とはされていません。 - 側弯症は呼吸機能に影響しない。
誤りです。 側弯症は胸郭の可動性を制限し、肺活量の低下や換気障害を引き起こすため、呼吸機能に大きな影響を及ぼします。 - 動脈血二酸化炭素分圧が上昇する。
正しい記述です。 DMDでは呼吸筋の低下により換気不全が進行すると、PaCO₂が上昇します。特に夜間に呼吸が浅くなるため、早期には夜間高炭酸ガス血症がみられることがあります。 - 呼吸不全は5歳以下から生じることが多い。
誤りです。 DMDによる呼吸不全は、通常10代後半から成人期にかけて進行します。5歳以下での呼吸不全はほとんどありません。
ワンポイントアドバイス
DMDでは筋力低下に伴い、呼吸筋(横隔膜、肋間筋)が弱化することで換気不全や痰の排出困難が生じます。特に夜間の呼吸不全(高炭酸ガス血症)や側弯症による胸郭制限が重要な問題です。早期の呼吸リハビリや人工呼吸器の導入を検討することが必要です。