第53回

第53回理学療法士国家試験 午前問題33

膝前十字靱帯損傷と合併して損傷しやすい部位はどれか。

  1. 外側側副靱帯
  2. 後十字靱帯
  3. 後半月大腿靱帯
  4. 膝蓋腱
  5. 内側半月板

解答解説

正解は5. 内側半月板です。

解説

膝前十字靱帯(ACL)の損傷は、膝関節の強い回旋力や外力が原因で発生します。このとき、膝に加わる力によって他の構造物も損傷することがあります。特に内側半月板との合併損傷が多いです。

ACL損傷の特徴

  • 内側半月板の損傷:ACL損傷では膝関節の不安定性が生じ、その影響で内側半月板が引き裂かれる可能性が高まります。
  • 内側側副靱帯(MCL)損傷も合併する場合があります。これを「不幸の三徴候(ACL損傷、MCL損傷、内側半月板損傷)」と呼びます。

各選択肢の解説

  1. 外側側副靱帯
    ACL損傷時に外側側副靱帯が損傷することは少なく、外力の方向によっては損傷が起きる場合がありますが、頻度は低いです。
    不適切
  2. 後十字靱帯
    ACL損傷とは別の力学的条件で損傷することが多く、合併しにくいです。
    不適切
  3. 後半月大腿靱帯
    この靱帯は半月板と大腿骨を繋ぐ靱帯ですが、ACL損傷との関連性は低いです。
    不適切
  4. 膝蓋腱
    膝蓋腱はACL損傷と直接関連する損傷ではありません。ジャンプや着地時の過負荷で起こる場合はありますが、ACL損傷と併発することは稀です。
    不適切
  5. 内側半月板
    ACL損傷では膝の不安定性により内側半月板にストレスがかかり、損傷する頻度が高いです。ACL損傷に伴う最も典型的な合併損傷の一つです。
    正解

ワンポイントアドバイス

ACL損傷では、内側半月板や内側側副靱帯との合併損傷が多いため、MRIによる精密検査が重要です。また、リハビリでは膝の安定性を高める大腿四頭筋やハムストリングスの強化が必要です。