55歳の男性。トラックの荷台(2m)から転落して受傷した。来院時の足関節エックス線単純写真(別冊No. 3A)及び冠状断CTとCTの模式図(別冊No. 3B)を別に示す。保存的に加療した場合、今後最も起こりやすい合併症はどれか。
- 四足
- 踵足
- 内反尖足
- 変形性関節症
- 無菌性骨壊死
解答解説
正解は4. 変形性関節症です。
解説
提示されたエックス線およびCT画像から、足関節周囲に骨折や骨変形が認められます。特に距骨の損傷や関節軟骨の損傷は、後遺的に変形性関節症のリスクを高めます。距骨骨折やその周囲の骨折では、関節面の不整や軟骨破壊が進行することで関節の退行性変化が生じやすいです。
各選択肢の評価
- 四足
四足とは足の後足部が高くなり、足底が地面に接しない状態を指します。このケースでは該当しません。 - 踵足
踵足とは足首の底屈が制限され、過剰な背屈位になる状態です。この患者では踵足を示唆する所見は見られません。 - 内反尖足
距骨や踵骨周囲の損傷に伴い起こる可能性はありますが、合併症として頻度は低いです。 - 変形性関節症
足関節の関節面不整や荷重が集中する結果、長期的に変形性関節症を発症しやすくなります。このため、最も起こりやすい合併症として正解です。 - 無菌性骨壊死
距骨骨折に伴うリスクとして無菌性骨壊死は考えられますが、発生頻度は変形性関節症よりも低いため不正解です。
ワンポイントアドバイス
距骨骨折や足関節周囲の骨折では、適切な整復と固定が非常に重要です。不完全な整復が将来的な変形性関節症のリスクを高めるため、リハビリの際も関節可動域制限や疼痛の管理に注意が必要です。