狭心症について正しいのはどれか。
- 強い胸痛が30分以上継続する。
- 心エコーでは発作時にも異常は認めない。
- 不安定狭心症は心筋梗塞には移行しない。
- 負荷心電図におけるST上昇が特徴的である。
- 薬物療法としてニトログリセリンが用いられる。
解答解説
正解は5. 薬物療法としてニトログリセリンが用いられるです。
狭心症は冠動脈の血流不足により心筋に一過性の虚血が生じる疾患です。症状は胸痛や胸部圧迫感が中心で、特に労作時やストレス時に発症することが多いです。治療には冠血流を改善する薬剤が使用され、ニトログリセリンはその代表例です。ニトログリセリンは冠動脈を拡張し、虚血の改善に効果を示します。発作時の頓用薬として用いられるほか、予防的にも使用されます。
選択肢の解説
- 強い胸痛が30分以上継続する。
30分以上続く強い胸痛は急性心筋梗塞の特徴です。狭心症の胸痛は通常、数分から10分程度で収まり、安静やニトログリセリンの投与で改善することが多いです。このため、この選択肢は誤りです。 - 心エコーでは発作時にも異常は認めない。
狭心症の発作時には、心エコーで心筋の壁運動異常(収縮不全など)が見られることがあります。特に冠動脈の一時的な血流不足が生じている場合には顕著です。したがって、異常が全く認められないという記述は誤りです。 - 不安定狭心症は心筋梗塞には移行しない。
不安定狭心症は、安静時にも症状が出現する危険な状態で、心筋梗塞に移行するリスクが高いとされています。このため、「心筋梗塞には移行しない」という記述は誤りです。 - 負荷心電図におけるST上昇が特徴的である。
狭心症においては、負荷心電図でST低下が特徴的です。ST上昇は急性心筋梗塞や異型狭心症(冠攣縮性狭心症)で見られることが多いため、この選択肢は誤りです。 - 薬物療法としてニトログリセリンが用いられる。
正解です。ニトログリセリンは狭心症の第一選択薬で、冠動脈を拡張し虚血を改善します。発作時には舌下錠やスプレーとして使用され、速効性があるため患者にも広く用いられています。
ワンポイントアドバイス
狭心症では、労作性狭心症(運動時に症状が出る)と不安定狭心症(安静時にも症状が出る)の区別が重要です。不安定狭心症は心筋梗塞の前段階となることが多いため、速やかな治療が必要です。また、ST変化(ST低下が主)の理解も診断の鍵となります。