第58回

第58回理学療法士国家試験 午後問題10

67 歳の男性。両下肢に脊髄後索性運動失調がみられる。座位で図のように床に記された複数の足形に対し、目で確認しながら自身の足を移動するよう指示した。この運動はどれか。

  1. Böhler 体操
  2. Buerger-Allen 体操
  3. Frenkel 体操
  4. McKenzie 体操
  5. Williams 体操

解答解説

正解は3. Frenkel 体操です。

Frenkel体操は、脊髄後索障害や運動失調を改善するために用いられる運動療法で、主に協調性を高めることを目的としています。この体操では、視覚的なフィードバックを利用して動作の正確性を補助しながら行うのが特徴です。図のように目で足形を確認しながら足を移動する運動は、Frenkel体操の典型的な方法です。

各選択肢の解説

  1. Böhler体操
    この選択肢は誤りです。Böhler体操は骨折後や外傷後に行う運動療法であり、脊髄後索障害や運動失調を目的としたものではありません。
  2. Buerger-Allen体操
    この選択肢は誤りです。Buerger-Allen体操は、末梢血流を改善するために用いられる運動療法で、動脈硬化や閉塞性動脈疾患の治療を目的とします。本症例の脊髄後索性運動失調とは無関係です。
  3. Frenkel体操
    この選択肢が正解です。Frenkel体操は運動失調に対して協調運動を促進するための方法で、視覚的フィードバックを用いる点が特徴です。今回の図のように、目で確認しながら足を動かす運動は典型的なFrenkel体操の一部です。
  4. McKenzie体操
    この選択肢は誤りです。McKenzie体操は、椎間板ヘルニアや慢性腰痛の治療を目的とした運動療法であり、今回の運動失調とは無関係です。
  5. Williams体操
    この選択肢は誤りです。Williams体操は腰椎の前弯を減少させることを目的とした運動療法で、主に脊柱管狭窄症や腰痛症の治療に用いられます。本症例の運動失調に対する治療法ではありません。

ワンポイントアドバイス

Frenkel体操は、視覚的なフィードバックを活用して運動失調を補正する運動療法です。脊髄後索障害や小脳性運動失調のリハビリで頻繁に用いられます。視覚補助を重視した特徴を覚えておきましょう。方法で、患者の動作を視覚的に補助しながら行う点が特徴です。この訓練法の目的や特徴を押さえ、他の体操法と区別できるようにしましょう。