第58回理学療法士国家試験　午前問題87

リンパ浮腫で正しいのはどれか。

1. 腹水を伴う。
2. 利尿薬で治療する。
3. 感染を繰り返しやすい。
4. 発症初期から皮膚硬化を生じる。
5. 肺血栓塞栓症の原因の一つである。

解答解説

正解は3.感染を繰り返しやすいです。

リンパ浮腫では、リンパ液の停滞によって皮膚のバリア機能が低下するため、蜂窩織炎などの感染を繰り返しやすくなります。また、進行すると線維化や皮膚硬化を生じますが、発症初期には認められません。利尿薬は効果が乏しく、主な治療法は複合的理学療法（圧迫療法やマッサージなど）です。

各選択肢の解説

1. 腹水を伴う。
   この選択肢は誤りです。腹水は肝硬変や心不全によるものが主であり、リンパ浮腫には関与しません。
2. 利尿薬で治療する。
   この選択肢は誤りです。リンパ浮腫の治療に利尿薬は効果がなく、基本的に推奨されません。
3. 感染を繰り返しやすい。
   この選択肢が正解です。リンパ浮腫では免疫機能の低下が起こり、蜂窩織炎などの感染症が合併しやすいことが知られています。
4. 発症初期から皮膚硬化を生じる。
   この選択肢は誤りです。皮膚硬化はリンパ浮腫の進行した状態で見られる症状であり、初期には見られません。
5. 肺血栓塞栓症の原因の一つである。
   この選択肢は誤りです。リンパ浮腫は肺血栓塞栓症の直接的な原因にはなりません。

ワンポイントアドバイス

リンパ浮腫は治療が困難なため、早期の管理が重要です。複合的理学療法（圧迫、マッサージ、運動）と感染予防を理解しておきましょう。