第53回

第53回理学療法士国家試験 午後問題84

廃用症候群によって低下しないのはどれか。

  1. 筋力
  2. 肺活量
  3. 心拍数
  4. 身体活動性
  5. 胃腸管運動

解答解説

正解は3. 心拍数です。

解説

廃用症候群は、長期の安静や不活動によって生じる身体機能の低下を指します。以下は各選択肢についての解説です。

  1. 筋力
    • 廃用による筋萎縮や筋力低下は代表的な症状の一つです。筋肉を使わない状態が続くと、筋線維が萎縮し、筋力が著しく低下します。
  2. 肺活量
    • 長期の安静によって呼吸筋が弱くなり、肺活量の低下が起こることがあります。特に高齢者では顕著です。
  3. 心拍数
    • 安静時の心拍数はむしろ上昇する傾向があります。活動量が減少すると、基礎代謝が低下し、相対的に安静時の心拍数が上昇します。したがって「低下しない」とされます。
  4. 身体活動性
    • 身体活動が減少することで運動機能が低下し、日常生活動作にも影響が及びます。身体活動性は低下するため、不正解です。
  5. 胃腸管運動
    • 運動量の減少により消化管の蠕動運動も低下します。これが原因で便秘や消化不良が生じることがあります。

ワンポイントアドバイス

廃用症候群の予防には、可能な限り早期の離床や適切なリハビリテーションが重要です。以下のポイントを覚えておきましょう:

  • 影響を受けやすい部位:筋力、骨密度、関節可動域、心肺機能
  • 影響を受けにくい指標:心拍数(むしろ上昇傾向)
    これを踏まえ、予防策や症状に合わせた介入を適切に選択してください。