第54回

第54回理学療法士国家試験 午後問題16

NICU における低出生体重児の腹臥位での姿勢を図に示す。この児に対するポジショニングで適切な肢位はどれか。2つ選べ。

  1. 頸部伸展位
  2. 体幹伸展位
  3. 肩関節内旋位
  4. 肩甲骨挙上位
  5. 股関節内転位

解答解説

正解は3. 肩関節内旋位5. 股関節内転位です。

解説

低出生体重児におけるポジショニングの目的は、姿勢を整え、運動発達を促進し、生理的安定を保つことです。腹臥位では、身体を丸める姿勢を基本に、自然な発達をサポートする肢位をとることが推奨されます。

選択肢ごとの解説

  1. 頸部伸展位(誤り)
    • 頸部の過度な伸展は、気道閉塞や呼吸困難のリスクを高める可能性があります。腹臥位では、中間位またはわずかな屈曲を保つのが適切です。
  2. 体幹伸展位(誤り)
    • 体幹の伸展位は不自然であり、筋緊張や不安定を引き起こす可能性があります。体幹は自然な屈曲を保つことが重要です。
  3. 肩関節内旋位(正解)
    • 肩関節を内旋位にすると、赤ちゃんの腕が体の近くに収まり、安定感が高まります。これは、胎内の自然な姿勢に近く、赤ちゃんにとって安心感を与える効果があります。
  4. 肩甲骨挙上位(誤り)
    • 肩甲骨挙上は首や肩の緊張を高める可能性があり、適切ではありません。肩甲骨は自然な位置に保つのが良いです。
  5. 股関節内転位(正解)
    • 股関節を内転位に保つことで、赤ちゃんが胎内にいたときの姿勢に近くなり、安定感を保つことができます。この姿勢は筋緊張を適切に保ち、運動発達に良い影響を与えます。

ワンポイントアドバイス

低出生体重児へのポジショニングでは、以下を意識しましょう:

  • 胎児の丸まった姿勢(屈曲位)を模倣する。
  • 自然な股関節と肩関節の内旋や内転を促す。
  • 安定感を与え、生理的ストレスを軽減するポジションを心がける。

赤ちゃんに負担のかからない、安定した肢位をサポートすることが重要です。