68歳の女性。外出中に転倒し、骨折に対して手術療法が行われた。術後のエックス線写真(別冊No. 3)を別に示す。手術後の理学療法で正しいのはどれか。
- 骨癒合が得られてから荷重を開始する。
- 術直後から膝関節可動域練習を開始する。
- ズボンを履く際は患側下肢から行うよう指導する。
- 両松葉杖で階段を降りる際は健側下肢から降ろす。
- 大腿四頭筋の筋力増強練習は等張性運動から開始する。
解答解説
正解は 3. ズボンを履く際は患側下肢から行うよう指導する です。
膝蓋骨骨折の術後では、患者が日常生活動作(ADL)を安全かつ効率的に行えるよう指導することが重要です。ズボンを履く際に患側下肢から行うよう指導する理由は、患側下肢の動きが制限されているため、健側より先に患側を通す方が動作がスムーズになり、安全性が高まるためです。
各選択肢の解説
- 骨癒合が得られてから荷重を開始する
張力帯固定術では、骨癒合を待つ前に部分荷重が可能な場合があります。医師の指示に基づき、適切な時期に荷重を開始するため、この選択肢は誤りです。 - 術直後から膝関節可動域練習を開始する
術後の可動域練習は、骨折の安定性や痛みの程度に応じて行われます。完全な可動域訓練を術直後から行うことは、状態によっては不適切である可能性があり、この選択肢は誤りです。 - ズボンを履く際は患側下肢から行うよう指導する(正解)
患側からズボンを履くことで、動作の効率性と安全性が向上します。特に膝蓋骨骨折術後では、患側を動かす範囲を最小限にすることが重要です。この選択肢が正解です。 - 両松葉杖で階段を降りる際は健側下肢から降ろす
松葉杖を使用して階段を降りる際は、通常、患側下肢から先に降ろします。「健側から降ろす」という指導は誤りです。 - 大腿四頭筋の筋力増強練習は等張性運動から開始する
術後の筋力増強練習は、通常、等尺性運動から開始します。等張性運動は、筋に負荷がかかりやすいため、回復が進んでから行います。この選択肢は誤りです。
ワンポイントアドバイス
術後のリハビリテーションでは、日常生活動作の効率化と安全性を確保することが重要です。衣服の着脱や杖の使用方法など、患者の具体的な状況に応じた指導を徹底しましょう。また、医師やリハビリテーションスタッフと連携して、患者の状況に適したリハビリ計画を策定することが大切です。