第55回

第55回理学療法士国家試験 午後問題90

心室中隔欠損症で正しいのはどれか。

  1. チアノーゼを生じる。
  2. 動脈管が開存している。
  3. 卵円孔の閉鎖不全である。
  4. 肺血流量は正常時よりも多くなる。
  5. 大動脈から肺動脈に直接血液が流れる。

解答解説

正解は4(肺血流量は正常時よりも多くなる)です。
心室中隔欠損症(VSD)は、心室中隔に穴が開いている先天性心疾患です。左心室から右心室への血液の流入が増加するため、肺血流量が増加します。これにより、肺高血圧や心不全症状が生じることがあります。

各選択肢の解説

  1. チアノーゼを生じる。
    通常の心室中隔欠損症では、左心室から右心室への血流(左→右シャント)が生じるため、チアノーゼは起こりません。ただし、肺高血圧が進行すると右→左シャントが発生し、チアノーゼを生じる場合があります(Eisenmenger症候群)。この選択肢は誤りです。
  2. 動脈管が開存している。
    動脈管開存症(PDA)は、動脈管が出生後も閉じない別の疾患であり、心室中隔欠損症とは異なります。この選択肢は誤りです。
  3. 卵円孔の閉鎖不全である。
    卵円孔の閉鎖不全は、心房中隔欠損症(ASD)の原因であり、心室中隔欠損症ではありません。この選択肢は誤りです。
  4. 肺血流量は正常時よりも多くなる。
    左心室から右心室への血流が増えるため、肺動脈を通る血液量が増加し、肺血流量が正常よりも多くなります。この選択肢は正しいです。
  5. 大動脈から肺動脈に直接血液が流れる。
    大動脈から肺動脈への直接血流は、動脈管開存症(PDA)で見られる特徴であり、心室中隔欠損症ではありません。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

心室中隔欠損症のポイントを整理しましょう:

  • シャント方向:左→右シャント(初期段階ではチアノーゼなし)
  • 肺血流量:増加し、肺高血圧を引き起こす可能性あり
  • 進行例:右→左シャントとなるとEisenmenger症候群を発症しチアノーゼを生じる

関連疾患(ASD、PDAなど)との鑑別も重要です。