62歳の女性。約半年前から歩行中にふらつき、しゃべりにくいことに気付いていたが、最近これらの症状が悪化してきた。その他、四肢協調運動障害、頭部CTで小脳および脳幹萎縮を指摘されている。この症例の評価指標として適切でないのはどれか。
- FBS
- 踵膝試験
- 鼻指鼻試験
- FMA(Fugl-Meyer assessment)
- SARA(scale for the assessment and rating test)
解答解説
正解は 4. FMA(Fugl-Meyer assessment) です。
この症例について
この患者は小脳性失調症が疑われます。特徴的な症状としては、以下が挙げられます。
- 歩行時のふらつき(失調性歩行)
- 協調運動障害(踵膝試験や鼻指鼻試験で確認可能)
- 構音障害(しゃべりにくい症状)
- 小脳や脳幹の萎縮(画像診断で確認)
小脳性失調症の評価では、協調運動やバランス機能の評価が重要です。
各選択肢の解説
- FBS (Functional Balance Scale)
適切です。 バランス機能の評価指標であり、ふらつきなどのバランス障害の評価に用いられます。 - 踵膝試験
適切です。 小脳性失調症の協調運動障害の有無を評価する基本的な試験です。 - 鼻指鼻試験
適切です。 協調運動障害を評価するための試験で、小脳性失調症での診断に有効です。 - FMA (Fugl-Meyer Assessment)
不適切です。 FMAは脳卒中後の麻痺や感覚障害などを評価するスケールであり、小脳性失調症の評価には適していません。 - SARA (Scale for the Assessment and Rating of Ataxia)
適切です。 SARAは小脳性失調症の重症度を評価するためのスケールで、小脳機能障害に対して広く使用されます。
ワンポイントアドバイス
小脳性失調症の評価では、バランス機能(FBS)や協調運動(踵膝試験・鼻指鼻試験)に加えて、失調の重症度(SARA)を確認することが重要です。一方で、FMAは脳卒中後の麻痺評価用であり、疾患特異性が異なる点に注意しましょう。