第55回

第55回理学療法士国家試験 午後問題73

努力吸気時に働く筋はどれか。

  1. 腹横筋
  2. 腹直筋
  3. 外腹斜筋
  4. 内腹斜筋
  5. 胸鎖乳突筋

解答解説

正解は5(胸鎖乳突筋)です。
努力吸気時には、安静吸気時に働く横隔膜や外肋間筋に加えて、胸鎖乳突筋や斜角筋などの補助呼吸筋が動員されます。これらの筋は胸郭を拡大させ、吸気を助けます。胸鎖乳突筋は、胸骨と鎖骨を引き上げて胸郭の拡大に寄与します。

各選択肢の解説

  1. 腹横筋
    腹横筋は、腹壁を形成する筋の一つで、呼気時に腹腔内圧を高める作用を持ちます。吸気には関与しません。この選択肢は誤りです。
  2. 腹直筋
    腹直筋は腹部の前面にある筋で、主に呼気時に収縮し、胸郭を下げて呼吸を助けます。吸気には関与しません。この選択肢は誤りです。
  3. 外腹斜筋
    外腹斜筋も呼気時に収縮し、胸郭を下げる作用を持つ筋です。吸気には関与しません。この選択肢は誤りです。
  4. 内腹斜筋
    内腹斜筋も呼気時に収縮する筋で、吸気には関与しません。この選択肢は誤りです。
  5. 胸鎖乳突筋
    胸鎖乳突筋は、吸気の補助筋として働き、胸郭を引き上げることで努力吸気を助けます。この選択肢は正しいです。

ワンポイントアドバイス

呼吸筋は以下のように覚えておくと便利です:

  • 安静吸気筋:横隔膜、外肋間筋
  • 努力吸気筋(補助筋):胸鎖乳突筋、斜角筋、上部僧帽筋など
  • 安静呼気筋:通常は筋活動を伴わない(胸郭と肺の弾性収縮)
  • 努力呼気筋:腹筋群(腹横筋、腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋)

これらを正確に理解することで、呼吸リハビリや疾患の評価に役立ちます。