筋力増強運動について正しいのはどれか。
- 等尺性筋力増強運動では回あたり20〜30秒間以上の収縮が必要である。
- 筋力を維持するためには最大筋力の70〜80%以上の抵抗が必要である。
- 目的としていない筋に代償運動が起こる方がよい。
- 等速性筋力増強運動では重錘ベルトを使用する。
- 等尺性筋収縮では血圧上昇に留意する。
解答解説
正解は5(等尺性筋収縮では血圧上昇に留意する)です。
等尺性筋収縮(アイソメトリック筋収縮)では筋長を一定に保ちながら収縮するため、血管が圧迫され、血圧が上昇しやすくなります。特に高血圧や心疾患の患者では、血圧上昇に十分な注意が必要です。
各選択肢の解説
- 等尺性筋力増強運動では回あたり20〜30秒間以上の収縮が必要である。
等尺性運動では一般に5〜10秒間の収縮を複数回繰り返すことが推奨されます。20〜30秒以上の収縮は血圧の過剰な上昇を招く可能性があり、安全性の観点から適切ではありません。この選択肢は誤りです。 - 筋力を維持するためには最大筋力の70〜80%以上の抵抗が必要である。
筋力の維持には、最大筋力の40〜60%程度の抵抗で十分とされています。70〜80%の負荷は筋力増強には適しているものの、維持の目的には過剰です。この選択肢は誤りです。 - 目的としていない筋に代償運動が起こる方がよい。
代償運動はターゲットとなる筋以外が過剰に働く状態で、非効率的かつ不適切な運動パターンを助長します。筋力増強運動では、代償運動を最小限に抑えることが重要です。この選択肢は誤りです。 - 等速性筋力増強運動では重錘ベルトを使用する。
等速性筋力増強運動(アイソキネティック運動)は、専用の等速性運動機器を使用して一定の速度で筋力を測定・強化する運動であり、重錘ベルトは使用しません。この選択肢は誤りです。 - 等尺性筋収縮では血圧上昇に留意する。
等尺性筋収縮では筋肉が収縮しても長さが変わらないため、筋内圧が増加し血管を圧迫します。その結果、血圧が上昇するため、特に循環器疾患の患者においては注意が必要です。この選択肢は正しいです。
ワンポイントアドバイス
筋力増強運動は、運動の種類や目的に応じて適切な方法を選択し、個々の患者の状態に応じた負荷量や安全対策を講じることが重要です。等尺性運動では血圧上昇に注意し、過負荷にならないように設定することを心がけましょう。