8歳の男児。脳性麻痺による痙直型両麻痺。GMFCSレベルⅢであり、床上はバニーホッピングで移動している。学校内の移動は車椅子駆動で自立している。車椅子の設定で正しいのはどれか。
1. ヘッドサポートをつける。
2. 座面高は標準より高くする。
3. 背もたれの高さは肩までとする。
4. 背もたれはリクライニング式にする。
5. フットサポートはスイングアウト式にする。
解答解説
正解は 5.フットサポートはスイングアウト式にする。
この症例について
- GMFCSレベルⅢ:手動車椅子を使って移動し、短距離であれば歩行器や手すりを利用した歩行が可能な段階です。移動の際には主に車椅子を用いますが、自立して車椅子を駆動できるため、日常生活や学校活動での利便性が求められます。
- 本症例では学校内の移動に車椅子を使用しているため、車椅子の設定は自立した駆動と日常の使いやすさを優先することが重要です。
各選択肢の解説
1.ヘッドサポートをつける。
不適切です。 本症例では学校内で自立して車椅子を駆動できることから、頭部支持の必要性が示されていません。ヘッドサポートは、首の支持が困難な場合に適応されますが、今回のケースでは必要ありません。
2.座面高は標準より高くする。
不適切です。 車椅子の座面高を高くすると、足が床に届かなくなり、移乗や車椅子駆動が難しくなります。むしろ、使用者の身長や機能に合った適切な高さが必要です。
3.背もたれの高さは肩までとする。
不適切です。 背もたれが肩まであると、上半身の自由な動きを妨げる可能性があります。自立して駆動している場合には、肩甲骨下部までの高さにするのが一般的です。
4.背もたれはリクライニング式にする。
不適切です。 リクライニング式の背もたれは、長時間の座位保持が難しい場合や、姿勢管理が必要な場合に適応されます。本症例ではリクライニング機能が必要とは考えられません。
5.フットサポートはスイングアウト式にする。
適切です。 スイングアウト式のフットサポートは、移乗の際に邪魔にならず、車椅子駆動時にも利便性が高いため、学校内での活動に適しています。
ワンポイントアドバイス
車椅子の設定では、使用者の移動能力や日常生活の活動に適合した調整が重要です。特に、スイングアウト式フットサポートは移乗の利便性を高めるため、小児や活動的な利用者に適しています。一方、過剰なサポート(例:ヘッドサポートやリクライニング機能)は不必要な場合もあるため、個々の状態を見極めて設定することが大切です。