第53回

第53回理学療法士国家試験 午後問題20

71歳の男性。うっ血性心不全。2週間前から顔面と下肢に浮腫がみられるようになり、安静にしていても呼吸困難があるため入院となった。入院2日後、離床練習開始となった。医療面接における質問で重要性が低いのはどれか。

  1. 咳や痰はないですか。
  2. 仰向けで寝られますか。
  3. 喉が渇きやすいですか。
  4. 息切れは少なくなりましたか。
  5. 手足のむくみは少なくなりましたか。

解答解説

正解は3. 喉が渇きやすいですか。です。

解説

この患者はうっ血性心不全により浮腫や呼吸困難を呈しています。適切な介入には、心不全の症状や経過を把握するための質問が重要です。以下、それぞれの選択肢について検討します。

  • 1. 咳や痰はないですか。
    心不全では、肺うっ血による咳や痰(特に泡沫状痰)が出現することがあります。このため、重要な質問です。不正解です。
  • 2. 仰向けで寝られますか。
    仰臥位での呼吸困難(起座呼吸)は、肺うっ血の典型的な症状であり、心不全の評価に重要です。不正解です。
  • 3. 喉が渇きやすいですか。
    喉の渇きは、脱水や口腔乾燥症のような状態に関連することが多く、心不全の直接的な症状ではありません。このため、重要性が低い質問となります。正解です。
  • 4. 息切れは少なくなりましたか。
    呼吸困難や息切れの改善状況を確認することは、治療の効果や病態の進行を評価する上で非常に重要です。不正解です。
  • 5. 手足のむくみは少なくなりましたか。
    末梢の浮腫の程度は、心不全の治療効果を評価する上で重要な指標です。不正解です。

ワンポイントアドバイス

心不全の患者への質問では、うっ血による症状(呼吸困難、咳、浮腫など)や治療効果の経過(息切れや浮腫の改善状況)に焦点を当てることが重要です。一方で、直接心不全に関係しない症状(喉の渇きなど)は優先順位が低くなります。この区別を意識しておきましょう。