第55回

第55回理学療法士国家試験 午前問題93

尿毒症で正しいのはどれか。

  1. 腎不全の初期にみられる。
  2. 代謝性アシドーシスを示す。
  3. 低カリウム血症を生じやすい。
  4. 透析患者の死亡原因で最も多い。
  5. 血清クレアチニン濃度は低下する。

解答解説

正解は 2. 代謝性アシドーシスを示す。

尿毒症は慢性腎不全の進行によって尿毒素が体内に蓄積し、さまざまな全身症状を引き起こす病態です。腎臓の排泄機能や調節機能が低下するため、代謝性アシドーシスが生じます。腎臓が酸塩基平衡を維持できなくなり、酸性物質が体内に蓄積することが原因です。

各選択肢の解説

  1. 腎不全の初期にみられる。
    誤りです。尿毒症は腎不全が進行した末期にみられる病態です。 腎機能の高度な低下により、老廃物や毒素が体内に蓄積することで発症します。
  2. 代謝性アシドーシスを示す。
    正解です。尿毒症では腎臓の調節機能低下により酸塩基平衡が崩れ、代謝性アシドーシスを引き起こします。 アシドーシスの原因は、酸性代謝産物の排泄障害や重炭酸イオン再吸収の障害です。
  3. 低カリウム血症を生じやすい。
    誤りです。尿毒症ではむしろ高カリウム血症が生じやすいです。 腎臓のカリウム排泄機能が低下するため、血中カリウム濃度が上昇します。
  4. 透析患者の死亡原因で最も多い。
    誤りです。透析患者の死亡原因として最も多いのは心血管疾患(心不全や心筋梗塞など)です。 尿毒症自体は、透析導入前にみられる病態です。
  5. 血清クレアチニン濃度は低下する。
    誤りです。尿毒症では腎機能低下に伴い、血清クレアチニン濃度はむしろ上昇します。 クレアチニンは腎機能を評価する重要な指標の1つです。

ワンポイントアドバイス

尿毒症の特徴的な症状として、代謝性アシドーシス、高カリウム血症、ナトリウム排泄障害、体液過剰が挙げられます。腎不全の進行に伴う症状として理解し、慢性腎不全や透析治療との関連を押さえておくことが重要です。