第55回理学療法士国家試験　午前問題66

排便の随意的な制御に関わるのはどれか。

1. 陰部神経
2. 下殿神経
3. 下腹神経
4. 骨盤神経
5. 閉鎖神経

解答解説

正解は 1. 陰部神経 です。

排便の随意的な制御は、外肛門括約筋の収縮によって行われます。この外肛門括約筋は横紋筋であり、陰部神経によって支配されています。陰部神経は、骨盤神経叢を経由して仙骨神経（S2～S4）から分岐します。排便を制御するために、外肛門括約筋の収縮や弛緩が必要となります。

各選択肢の解説

1. 陰部神経
   正解です。陰部神経は外肛門括約筋を支配し、排便の随意的な制御に関わります。 この神経が損傷すると、排便の随意的な制御が困難になる可能性があります。
2. 下殿神経
   誤りです。下殿神経は大殿筋を支配し、股関節の伸展運動に関与します。 排便制御には関与しません。
3. 下腹神経
   誤りです。下腹神経は交感神経系に属し、内臓の平滑筋や分泌腺の調節を行います。 排便の随意的な制御には関与しません。
4. 骨盤神経
   誤りです。骨盤神経は副交感神経系に属し、腸管平滑筋を支配して排便反射を助けますが、随意的な制御には関与しません。
5. 閉鎖神経
   誤りです。閉鎖神経は内転筋群を支配し、大腿の内転に関与します。 排便制御には関与しません。

ワンポイントアドバイス

排便の制御には、自律神経と体性神経の協調が重要です。骨盤神経（副交感神経）は腸管の蠕動運動を促進し、陰部神経（体性神経）は外肛門括約筋を支配して随意的な排便制御を行います。これらの役割を明確に区別して覚えましょう。