第55回

第55回理学療法士国家試験 午前問題37

関節可動域運動で正しいのはどれか。

  1. 筋収縮を伴ってはならない。
  2. 意識障害がある場合は行わない。
  3. 運動麻痺の改善を目的として行う。
  4. 拘縮の予防・改善を目的として行う。
  5. 深部感覚障害がある場合は行わない。

解答解説

正解は 4. 拘縮の予防・改善を目的として行う。

関節可動域運動は、関節の柔軟性を維持・改善し、拘縮や関節の動きの制限を防ぐために行われます。受動的または能動的に行われ、特に長期臥床や運動麻痺の患者では重要なリハビリテーション手段です。

各選択肢の解説

  1. 筋収縮を伴ってはならない。
    関節可動域運動は、受動的な運動では筋収縮を伴いませんが、能動的な運動では筋収縮を伴います。 必ずしも筋収縮を排除する必要はないため、この選択肢は誤りです。
  2. 意識障害がある場合は行わない。
    意識障害がある患者でも、受動的な関節可動域運動を行うことができます。 これは拘縮の予防や血行促進に役立つため、この選択肢は誤りです。
  3. 運動麻痺の改善を目的として行う。
    運動麻痺の改善は、筋力強化運動や機能的な訓練を主に用いて行います。 関節可動域運動の主な目的は拘縮の予防・改善であり、運動麻痺改善とは直接の関連がありません。この選択肢は誤りです。
  4. 拘縮の予防・改善を目的として行う。
    正解です。関節可動域運動の主な目的は、拘縮の予防や改善、関節の柔軟性の維持です。 受動的運動、能動的運動のいずれでも、この目的が達成されます。
  5. 深部感覚障害がある場合は行わない。
    深部感覚障害があっても関節可動域運動は可能です。むしろ、運動を通じて関節感覚のフィードバックを促進する効果も期待できます。 この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

関節可動域運動は、リハビリテーションにおいて基本的かつ重要な手法です。拘縮の予防・改善を目的として行われるほか、血流促進や筋肉の柔軟性向上にも役立ちます。受動的運動と能動的運動の違いを理解し、患者の状態に応じた運動を選択しましょう。