末梢組織への酸素供給を増やすのはどれか。
- pHの低下
- 体温の低下
- PCO₂の低下
- 赤血球数減少
- ヘモグロビン濃度減少
解答解説
正解は1. pHの低下です。
解説
末梢組織への酸素供給は、酸素解離曲線(ヘモグロビンの酸素結合能力と酸素分圧の関係)に影響を受けます。以下の要因が酸素解離曲線を右方へシフトさせ、酸素が末梢組織に供給されやすくなります:
- pHの低下(酸性化)
- 体温の上昇
- PCO₂の上昇(炭酸ガス増加)
- 2,3-DPG(ジホスホグリセリン酸)の増加
これらの条件は、組織が活発に代謝を行っている状態で見られ、酸素需要が高まる場面で適応的に作用します。
各選択肢の解説
- pHの低下(正解)
- ボーア効果により、pHが低下すると酸素解離曲線が右方シフトし、ヘモグロビンから酸素が放出されやすくなります。これにより末梢組織への酸素供給が増加します。
- 体温の低下(誤り)
- 体温が低下すると酸素解離曲線は左方シフトし、ヘモグロビンが酸素を放出しにくくなります。結果として、末梢組織への酸素供給が減少します。
- PCO₂の低下(誤り)
- PCO₂の低下(炭酸ガスの減少)は酸素解離曲線を左方シフトさせ、酸素がヘモグロビンに強く結合するため、末梢組織への酸素供給が減少します。
- 赤血球数減少(誤り)
- 赤血球数の減少は酸素運搬能力を低下させ、末梢組織への酸素供給が減少します。
- ヘモグロビン濃度減少(誤り)
- ヘモグロビン濃度が減少すると酸素運搬能力が低下し、末梢組織への酸素供給が減少します。
ワンポイントアドバイス
- 酸素解離曲線の右方シフトは、酸素供給を増加させる条件(高CO₂、低pH、高温、高2,3-DPG)。
- 左方シフトは酸素供給を抑制する条件(低CO₂、高pH、低温、低2,3-DPG)。
ボーア効果を中心に理解することで、酸素供給に関わる要因を体系的に覚えられます。