第56回

第56回理学療法士国家試験 午後問題80

防衛機制として誤っているのはどれか。

  1. 転 移
  2. 抑 圧
  3. 合理化
  4. 反動形成
  5. スプリッティング

解答解説

正解は1.転移です。

転移は、防衛機制ではなく、主に心理療法や精神分析の文脈で使用される用語です。患者が過去の重要な人物(親や配偶者など)に対する感情を治療者に向ける現象を指します。一方、防衛機制は無意識的に心の安定を保つための心理的な働きを指し、選択肢2~5はすべて防衛機制に該当します。

選択肢の解説

  1. 転移
    転移は、患者が治療者に対して過去の重要な人への感情や態度を投影する現象であり、防衛機制には含まれません。この選択肢が誤りで正解です。
  2. 抑圧
    抑圧は、不快な感情や記憶を無意識下に押し込む防衛機制です。これは防衛機制の代表例の一つです。この選択肢は正しいです。
  3. 合理化
    合理化は、自分の行動や感情を正当化するために、もっともらしい理由を付ける防衛機制です。これは防衛機制に該当します。この選択肢は正しいです。
  4. 反動形成
    反動形成は、自分の不快な感情や衝動を抑えるために、それとは正反対の態度や行動を取る防衛機制です。この選択肢は正しいです。
  5. スプリッティング
    スプリッティングは、物事を全て「良い」か「悪い」に分けて捉える防衛機制で、境界性人格障害などでよく見られます。この選択肢は正しいです。

ワンポイントアドバイス

防衛機制と関連する心理的概念の違いを明確にすることが重要です:

  • 防衛機制:心の安定を保つための無意識的な働き(例:抑圧、合理化、反動形成)。
  • 転移:過去の感情を治療者に投影する心理療法の概念。
    防衛機制に含まれるものを確実に区別することで、問題に正確に対応できます。