第56回

第56回理学療法士国家試験 午後問題62

交感神経および副交感神経の両方の刺激で促進されるのはどれか。

  1. 発汗
  2. 心拍
  3. 胃の蠕動
  4. 唾液腺分泌
  5. 立毛筋収縮

解答解説

正解は4.唾液腺分泌です。

唾液腺分泌は、交感神経と副交感神経の両方によって調節されます。

  • 副交感神経の刺激により、豊富でさらさらした漿液性の唾液が分泌されます。
  • 交感神経の刺激により、粘液性で少量の唾液が分泌されます。
    両方の神経が唾液分泌に関与している点が特徴です。

選択肢の解説

  1. 発汗
    発汗は交感神経によってのみ調節されます。副交感神経は関与しません。この選択肢は誤りです。
  2. 心拍
    心拍は交感神経が促進し、副交感神経が抑制する対照的な働きを持ちます。両方の刺激で促進されるわけではありません。この選択肢は誤りです。
  3. 胃の蠕動
    胃の蠕動運動は、副交感神経が促進し、交感神経が抑制します。両方の刺激で促進されるわけではありません。この選択肢は誤りです。
  4. 唾液腺分泌
    唾液腺分泌は、交感神経と副交感神経の両方によって促進されます。交感神経は少量の粘液性唾液を分泌させ、副交感神経は多量の漿液性唾液を分泌させます。この選択肢が正解です。
  5. 立毛筋収縮
    立毛筋の収縮は交感神経によってのみ制御されます。副交感神経は関与しません。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

自律神経の働きを覚える際は、以下のポイントを整理すると理解が深まります:

  • 交感神経のみが関与:発汗、立毛筋収縮など。
  • 副交感神経のみが関与:胃腸の蠕動運動、消化液分泌など。
  • 両方が関与:唾液分泌(役割が異なる)。
    対照的な作用が多い自律神経ですが、唾液分泌のように補完し合うケースもあるため、特徴的な例として覚えておきましょう。