第54回

第54回理学療法士国家試験 午前問題25

関節可動域が正常な患者に対し、Danielsらの徒手筋力テストの段階5の検査で、軽度屈曲位で抵抗を加えるのはどれか。

  1. 肩関節伸展
  2. 肘関節伸展
  3. 手関節伸展
  4. 股関節伸展
  5. 頸部複合伸展

解答解説

正解は2. 肘関節伸展です。

解説

Danielsらの徒手筋力テスト(MMT: Manual Muscle Testing)は、筋力を0~5の段階で評価する方法です。段階5(Normal)は、最大抵抗に対して筋が正常に収縮し、関節の動きを保持できる状態を指します。

筋力テストを行う際の基本的なポイント:

  • 軽度屈曲位でのテスト
    肘関節伸展の場合、テスト中に筋の最大効率が発揮されるように、関節を軽度屈曲位(通常は20~30度程度)に保ちます。
  • 抵抗の加え方
    抵抗をかける位置と方向は筋の作用線に沿って行います。肘関節伸展では、上腕三頭筋を評価するため、手関節付近に抵抗を加えて筋の収縮をテストします。

選択肢の解説

  1. 肩関節伸展(誤り)
    • 肩関節伸展では、テスト肢位は通常、腕を後方に伸展させた位置になります。軽度屈曲位で行うものではありません。
  2. 肘関節伸展(正解)
    • 肘関節伸展のMMTでは、肘を軽度屈曲位に保ち、上腕三頭筋に抵抗を加えて筋力を評価します。これは適切な方法です。
  3. 手関節伸展(誤り)
    • 手関節伸展のテストでは、手関節を伸展位に保ち、手背側に抵抗を加えますが、肘の軽度屈曲位とは関係がありません。
  4. 股関節伸展(誤り)
    • 股関節伸展のMMTでは、患者を腹臥位にして股関節を伸展させる方法が一般的です。軽度屈曲位で行うものではありません。
  5. 頸部複合伸展(誤り)
    • 頸部伸展のテストでは、頸椎を伸展させる位置で抵抗を加えますが、軽度屈曲位は関係ありません。

ワンポイントアドバイス

MMTでは、筋の力が最大限に発揮できる肢位を設定し、正確な抵抗の方向と位置を守ることが重要です。特に肘関節伸展では、軽度屈曲位で上腕三頭筋を評価することが基準である点を覚えておきましょう。