間質性肺疾患患者に対する理学療法で最も適切なのはどれか。
- 体位排痰法を指導する
- 吸気筋トレーニングを指導する
- 上肢の筋力増強運動は行わない
- 神経筋電気刺激療法は行わない
- 有酸素運動はSpO2 60%を目標に実施する
解答解説
正解は 2. 吸気筋トレーニングを指導する です。
間質性肺疾患(ILD)は、肺の線維化が進行する疾患群であり、肺活量の減少と呼吸困難が主な特徴です。吸気筋トレーニングは、呼吸筋の機能を改善し、息切れや運動耐容能の向上に有効です。その他の選択肢には、適切ではないまたは誤解を招く内容が含まれています。
各選択肢の解説
- 体位排痰法を指導する
間質性肺疾患では、気道分泌物の貯留が主要な問題ではありません。体位排痰法は慢性閉塞性肺疾患(COPD)や気管支拡張症などで有効ですが、間質性肺疾患の患者には適応外です。 - 吸気筋トレーニングを指導する(正解)
吸気筋トレーニングは、呼吸筋を強化することで運動能力を向上させ、息切れの軽減に寄与します。間質性肺疾患患者に対する理学療法として広く推奨されます。 - 上肢の筋力増強運動は行わない
間質性肺疾患患者でも上肢筋力増強運動は可能です。むしろ、運動耐容能や日常生活動作の改善を目的に行うことが推奨されています。 - 神経筋電気刺激療法は行わない
筋力低下の改善を目的とした神経筋電気刺激療法(NMES)は、間質性肺疾患患者にも有用です。特に重症例や運動が困難な患者に対して実施されることがあります。 - 有酸素運動はSpO2 60%を目標に実施する
SpO2(経皮的酸素飽和度)は安全のため通常88%以上を維持するよう目指します。SpO2 60%は低酸素血症が強く、安全性が確保できないため不適切です。
ワンポイントアドバイス
間質性肺疾患の理学療法では、呼吸筋トレーニング、有酸素運動、筋力強化運動が基本です。酸素飽和度の低下に注意し、安全を確保しながら実施します。低酸素血症の重症度に応じて酸素療法を併用することもあります。運動中のモニタリングと患者の個別性を考慮したプログラムが重要です。