67歳の男性。Parkinson病。発症後5年経過。Hoehn & Yahrの重症度分類ステージⅢ。四肢に中等度の筋強剛を認めるが、筋力や関節可動域に明らかな問題はない。歩行場面では、開始後しばらくして小刻み歩行で小走りとなり、会話しながらだとそれが顕著となる。腰掛けるために椅子に近づくと、すくみ足がみられる。この患者の歩行障害への対応で適切なのはどれか。
- 狭い場所を歩く。
- 直線上を継ぎ足で歩く。
- 長下肢装具を用いて歩く。
- 認知課題を追加しながら歩く。
- リズミカルな繰り返しの聴覚刺激を用いて歩く。
解答解説
正解は5.リズミカルな繰り返しの聴覚刺激を用いて歩くです。
Parkinson病では、歩行障害(小刻み歩行、すくみ足など)が特徴的で、リズミカルな聴覚刺激(例: メトロノーム音や音楽のテンポ)が歩行改善に有効とされています。この方法により、歩幅やリズムの調整がしやすくなります。
各選択肢の解説
- 狭い場所を歩く。
狭い場所では歩行困難がさらに悪化する可能性があります。すくみ足や方向転換の困難さが増し、不適切です。 - 直線上を継ぎ足で歩く。
継ぎ足歩行は歩行の負担を増し、歩幅を広げる練習には適していません。不適切です。 - 長下肢装具を用いて歩く。
Parkinson病では、筋力低下が主な問題ではないため、長下肢装具は不要です。不適切です。 - 認知課題を追加しながら歩く。
Parkinson病では注意分割が困難で、認知課題を追加すると歩行障害が悪化する可能性があります。不適切です。 - リズミカルな繰り返しの聴覚刺激を用いて歩く。
正解です。リズムを利用して歩行を誘導する方法は、歩行パターンを安定させ、すくみ足や小刻み歩行を改善する効果が期待されます。
ワンポイントアドバイス
Parkinson病の歩行障害には、視覚的・聴覚的な外部刺激が有効です。特にリズム刺激は、運動リズムを取り戻す助けとなります。理学療法では、テンポを意識させながら患者に歩行を促す練習が推奨されます。