第57回

第57回理学療法士国家試験 午後問題74

正常歩行について正しいのはどれか。

  1. 足関節は1歩行周期に背屈と底屈とが2回生じる。
  2. 股関節は1歩行周期に伸展と屈曲とが2回生じる。
  3. 膝関節は1歩行周期に伸展と屈曲とが1回生じる。
  4. 一側下肢の立脚相と遊脚相の割合は7:3である。
  5. 高齢者では歩行比が大きくなる。

解答解説

正解は1です。

足関節は正常歩行において、1歩行周期中に背屈と底屈が2回ずつ生じます。立脚相後半では底屈、遊脚相初期では背屈が起こり、前方への重心移動を効率的に行います。

各選択肢の解説

  1. 足関節は1歩行周期に背屈と底屈とが2回生じる。(正解)
    正しい選択肢です。歩行周期において、足関節の背屈と底屈は2回ずつ生じます。
  • 背屈:遊脚相中期および立脚相の後半。
  • 底屈:立脚相終期および初期接地直後。
  1. 股関節は1歩行周期に伸展と屈曲とが2回生じる。
    股関節の伸展と屈曲は1歩行周期にそれぞれ1回ずつしか生じません。立脚相では伸展し、遊脚相では屈曲します。この選択肢は誤りです。
  2. 膝関節は1歩行周期に伸展と屈曲とが1回生じる。
    膝関節の屈曲と伸展は1歩行周期中に2回ずつ生じます。立脚相中期と遊脚相中期での動きが含まれるため、この選択肢は誤りです。
  3. 一側下肢の立脚相と遊脚相の割合は7:3である。
    正常歩行では立脚相と遊脚相の割合は約6:4です。この選択肢は誤りです。
  4. 高齢者では歩行比が大きくなる。
    歩行比(歩幅÷歩行周期)は、高齢者では小さくなる傾向があります。これは歩幅が短くなり、歩行周期が延長するためです。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

歩行周期(1歩行周期=立脚相+遊脚相)の特徴を覚えることが重要です:

  • 立脚相:全周期の約60%を占め、足が地面についているフェーズ。
  • 遊脚相:全周期の約40%を占め、足が地面から離れているフェーズ。
  • 各関節の動き(背屈、底屈、屈曲、伸展)を時期ごとに整理して覚えると理解が深まります。