第57回

第57回理学療法士国家試験 午後問題49

地域リハビリテーションについて正しいのはどれか。

  1. 地域で生活する高齢者のみを対象とする。
  2. 訪問リハビリテーションと同じ意味である。
  3. 基本理念にソーシャル・インテグレーションがある。
  4. 対象者への教育・啓発活動も具体的な取り組みに含まれる。
  5. CBR(Community-Based Rehabilitation)マトリクスは日本で作成された。

解答解説

正解は4です。

地域リハビリテーションは、地域社会で生活するすべての人々を対象とし、身体的・精神的・社会的に自立した生活を送れるよう支援する活動を指します。具体的な取り組みには、リハビリテーションの実施だけでなく、対象者への教育・啓発活動も含まれます。

各選択肢の解説

  1. 地域で生活する高齢者のみを対象とする。
    地域リハビリテーションの対象は、高齢者だけでなく、障害を持つ人やその家族、地域社会全体を含みます。この選択肢は誤りです。
  2. 訪問リハビリテーションと同じ意味である。
    訪問リハビリテーションは、地域リハビリテーションの一部に過ぎません。地域リハビリテーションは、訪問だけでなく、通所や施設でのリハビリ、地域全体への働きかけも含まれます。この選択肢は誤りです。
  3. 基本理念にソーシャル・インテグレーションがある。
    地域リハビリテーションの基本理念は、自立と社会参加を促進することです。「ソーシャル・インテグレーション(社会統合)」は重要な要素ですが、必ずしも基本理念そのものではありません。この選択肢は誤りです。
  4. 対象者への教育・啓発活動も具体的な取り組みに含まれる。(正解)
    正しい選択肢です。地域リハビリテーションでは、障害や疾患に対する理解を深めるため、対象者や家族、地域住民への教育・啓発活動が重要な役割を果たします。
  5. CBR(Community-Based Rehabilitation)マトリクスは日本で作成された。
    CBRマトリクスは、WHO(世界保健機関)によって作成されたものであり、日本独自のものではありません。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

地域リハビリテーションは、医療と福祉の枠を超えて、地域全体で対象者を支援する包括的な活動です。対象者への教育や地域社会の啓発、社会参加の促進が大きな役割を果たします。また、CBR(地域に根ざしたリハビリテーション)の考え方も、国際的な視点で学んでおくとよいでしょう。