第57回

第57回理学療法士国家試験 午後問題28

正中神経と尺骨神経の表在感覚支配領域(掌側)が橈側と尺側で分かれる手指はどれか。

  1. 母指
  2. 示指
  3. 中指
  4. 環指
  5. 小指

解答解説

正解は4です。

手指の掌側感覚支配は、橈側(正中神経)と尺側(尺骨神経)で分かれています。環指(薬指)は、その掌側で感覚支配が正中神経と尺骨神経によって分かれる唯一の手指です。正中神経が支配する橈側2分の1と、尺骨神経が支配する尺側2分の1に分かれるため、両神経の感覚支配の境界となっています。

各選択肢の解説

  1. 母指
    母指の掌側は完全に正中神経の支配です。尺骨神経の感覚支配は及ばないため、この選択肢は誤りです。
  2. 示指
    示指も母指と同様、掌側は完全に正中神経の支配です。尺骨神経の感覚支配は及ばないため、この選択肢は誤りです。
  3. 中指
    中指の掌側も全て正中神経が支配します。感覚支配の境界には関係しないため、この選択肢は誤りです。
  4. 環指(正解)
    正しい選択肢です。環指の掌側では、橈側2分の1が正中神経、尺側2分の1が尺骨神経に支配されており、感覚支配領域の境界となります。
  5. 小指
    小指の掌側は完全に尺骨神経の支配です。正中神経の感覚支配は及ばないため、この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

手の掌側の感覚支配は、次のように覚えると簡単です:

  • 正中神経:母指、示指、中指、環指橈側2分の1
  • 尺骨神経:小指、環指尺側2分の1

環指は感覚支配の分界線として重要な指であり、神経障害(例:正中神経麻痺や尺骨神経麻痺)を鑑別する際の指標になります。