第59回

第59回理学療法士国家試験 午前問題27

関節可動域測定法(日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会基準 1995年)に基づく下肢の関節可動域の測定法の原則で正しいのはどれか。

1.足指では底側に角度計を当てる。
2.足部の外がえしは膝関節伸展位で行う。
3.足関節では足底への動きが伸展である。
4.足部の回内・外転・背屈の複合した動きは内がえしである。
5.外反・内反という用語は足部の変形を意味するので使用しない。

正解は5です。

解答解説

正解は 5.外反・内反という用語は足部の変形を意味するので使用しない です。

  • 外反・内反という用語は、足部の変形を表す際に使用されます。日本整形外科学会および日本リハビリテーション医学会の基準では、足関節の可動域測定において「外反・内反」ではなく「外がえし・内がえし」という用語を使用するよう推奨されています。これにより、変形の意味と混同せず、動きの方向を正確に表現できます。

選択肢の解説

  1. 足指では底側に角度計を当てる
    誤りです。足指の可動域測定では通常背側に角度計を当てて測定します。底側に角度計を当てると測定がしにくく、正確な評価が難しくなります。
  2. 足部の外がえしは膝関節伸展位で行う
    誤りです。足部の外がえしの測定は、通常膝関節を屈曲位にして行います。膝を屈曲位にすることでふくらはぎの筋緊張の影響を抑え、測定精度が向上します。膝を伸展したままだと腓腹筋やヒラメ筋の緊張が影響し、正確な測定が難しくなります。
  3. 足関節では足底への動きが伸展である
    誤りです。足関節における足底方向への動きは底屈と呼ばれます。「伸展」という用語は、膝や肘など他の関節の動きに対して使われることが多く、足関節では「底屈・背屈」の用語を用いるのが正確です。
  4. 足部の回内・外転・背屈の複合した動きは内がえしである
    誤りです。足部の内がえしは回外・内転・底屈の複合運動です。一方で、外がえしは回内・外転・背屈の複合運動にあたります。この選択肢では内がえしと外がえしの組み合わせが逆になっています。
  5. 外反・内反という用語は足部の変形を意味するので使用しない
    正解です。足部の「外反・内反」という用語は、変形を表すために使用されることが一般的です。足関節の可動域測定においては、「外反・内反」ではなく、「外がえし・内がえし」という言葉を用いることが推奨されています。これにより、変形と運動方向を混同しないようにしています。

ワンポイントアドバイス

関節可動域測定において、正確な用語の使い分けが重要です。足関節では、動きの方向を「底屈」「背屈」「内がえし」「外がえし」と表現し、特に「外反・内反」という用語は変形を指す場合に使われます。この区別を覚えておくことで、可動域測定を正確に行えるようになります。