第55回

第55回理学療法士国家試験 午前問題35

筋萎縮性側索硬化症で下位運動ニューロン障害の徴候はどれか。

  1. 痙縮
  2. 仮性球麻痺
  3. 線維束性収縮
  4. 腹壁反射消失
  5. アキレス腱反射亢進

解答解説

正解は 3. 線維束性収縮 です。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、上位運動ニューロン障害と下位運動ニューロン障害が同時に生じる疾患です。線維束性収縮(筋肉がピクピク動くような不随意運動)は、下位運動ニューロン障害の特徴的な所見です。これは運動神経の変性により筋肉が断続的に興奮することで発生します。

各選択肢の解説

  1. 痙縮
    痙縮(spasticity)は上位運動ニューロン障害による徴候です。 ALSでは、側索の障害により錐体路が影響を受けた場合に見られますが、下位運動ニューロン障害の徴候ではありません。この選択肢は誤りです。
  2. 仮性球麻痺
    仮性球麻痺(pseudobulbar palsy)は、上位運動ニューロン障害によるものです。 ALSにおける延髄機能障害として現れることがありますが、下位運動ニューロン障害の徴候ではありません。この選択肢は誤りです。
  3. 線維束性収縮
    正解です。線維束性収縮は、下位運動ニューロン障害による典型的な徴候です。 運動神経が障害を受けた結果、筋肉が不規則に収縮する現象として現れます。
  4. 腹壁反射消失
    腹壁反射消失は、広範な神経障害で見られる場合がありますが、下位運動ニューロン障害を直接反映する徴候ではありません。 ALSに特異的ではありません。この選択肢は誤りです。
  5. アキレス腱反射亢進
    アキレス腱反射亢進は、上位運動ニューロン障害の徴候です。 ALSでは側索障害により反射亢進が見られることがありますが、下位運動ニューロン障害の徴候ではありません。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

筋萎縮性側索硬化症(ALS)では、上位運動ニューロン障害(痙縮、腱反射亢進など)と下位運動ニューロン障害(筋萎縮、線維束性収縮など)の徴候が混在します。それぞれの徴候を区別し、病態を正確に理解することが重要です。特に線維束性収縮は下位運動ニューロン障害の特徴的な所見として覚えておきましょう。