認知症の原因になりにくい疾患はどれか。
- 葉酸欠乏症
- 正常圧水頭症
- 慢性硬膜下血腫
- 甲状腺機能亢進症
- ビタミンB12欠乏症
解答解説
正解は4. 甲状腺機能亢進症です。
解説
認知症の原因として考えられる疾患には、神経変性疾患(アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症など)だけでなく、治療可能なもの(可逆性認知症)も含まれます。特にビタミン欠乏症や代謝性疾患、脳内圧の異常などが認知症を引き起こすことがあります。
各疾患の認知症との関連性
- 葉酸欠乏症(関連あり)
- 葉酸欠乏により高ホモシステイン血症を引き起こし、神経障害や認知機能の低下が生じることがあります。認知症の原因となる可能性があります。
- 正常圧水頭症(関連あり)
- 歩行障害、尿失禁、認知障害を三主徴とする疾患で、特に認知障害は可逆性の認知症として知られています。シャント手術などで症状が改善する可能性があります。
- 慢性硬膜下血腫(関連あり)
- 頭部外傷後に慢性硬膜下血腫が形成されると、脳の圧迫により認知機能の低下が生じることがあります。これも治療可能な認知症の原因です。
- 甲状腺機能亢進症(関連なし)
- 甲状腺機能亢進症では精神症状(イライラ、不安、興奮など)が出ることがありますが、認知症のような記憶障害や認知機能の持続的な低下を引き起こすことは稀です。甲状腺機能低下症の方が認知症と関連があります。
- ビタミンB12欠乏症(関連あり)
- ビタミンB12欠乏により巨赤芽球性貧血や神経障害が生じ、認知機能の低下を引き起こすことがあります。これも可逆性の認知症の原因となる可能性があります。
選択肢の解説
- 葉酸欠乏症(関連あり)
- 高ホモシステイン血症による神経障害の原因となり、認知機能の低下を引き起こすことがあります。
- 正常圧水頭症(関連あり)
- 可逆性認知症の原因としてよく知られています。
- 慢性硬膜下血腫(関連あり)
- 頭部外傷や血腫形成による脳圧迫が認知機能低下を引き起こします。
- 甲状腺機能亢進症(関連なし:正解)
- 精神症状を伴うことはありますが、認知症の原因となることは稀です。
- ビタミンB12欠乏症(関連あり)
- 神経障害を引き起こし、認知症様の症状が現れることがあります。
ワンポイントアドバイス
可逆性認知症の原因を正しく理解しておくことが重要です。特に葉酸欠乏症やビタミンB12欠乏症などの代謝性疾患や、正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫などの治療可能な疾患は見逃さないようにしましょう。一方、甲状腺機能亢進症は精神症状は出ても認知症の原因となる可能性は低いことを覚えておきましょう。